テープ
2012年6月10日 映画◆サスペンス・ミステリーモーテルの一室。だらしなく腹の出た男が、奇妙な方法でビールを飲んでいる。こんな冒頭から、一体これから、何が始まろうとしているのか、視線は釘付けにされる。リチャード・リンクレイター監督の最新作『テープ』は、たった3人の登場人物が、繰り広げる会話劇。そんな単純な物語の中に、観客を惹きつけるマジックがかけられている。まずは、3人の登場人物。懐かしい友人同士であるはずの3人の関係は、会話の中で離れたり近づいたり、予断を許さない。
2001年 アメリカ
監督 リチャード・リンクレイター
哲学的な面白さ。
私にとって、このタイミングで、この映画、
運命的な巡り合いでした。
理由は最後の方に書きます。
ジャンルはサスペンスですが、人間ドラマに近い
”複雑な大人”の議論だと思います。
舞台はモーテルの一室で、全編会話だけで物語が進みます。
テーマは、「あの日の晩、2人の間に何が起こっていたのか」。
それと、”謝罪”の意味。
序盤は、男2人の不毛な議論の垂れ流しと、
退屈に思える人もいるでしょう。
しかし、私の場合は、この議論を、ただ傍観
しているわけにはいかず、脳みそがフル回転でした。
どちらにも、一応筋が通った言い分があって、
イーサン・ホークは、屁理屈だな~と思いながらも、
どちらが正しいとは、はっきり言えないからだ。
ロバート・ショーン・レナードも、イーサンも、
全く引き下がらず、互角に話し合ってるから面白い。
この2人の元に後からやってくる女性ユマ・サーマン。
2人の不毛な議論のキーとなるユマ・サーマンですが、
この女性が入ってきた事によって、事態は
また思いも寄らない方向へと変わってきます。
2人をあざ笑うかのように、畳み掛けるユマが、
一枚も二枚も上でした。
でも、ユマの行動は、2人を思ってるからこその、
行動だと思う。
彼女も傷ついているはずなのに、
あまりにクールに締めくくってくれるので、
「女は強し」と思いました。(笑
あと、ロバートが序盤の方で言っていた台詞、
「お互いの違いを認めて、そこから付き合っていこうじゃないか」
これが大事だと思う。
これが出来れば、争いは無くなるはずだ。
さて、冒頭で運命的な巡り合いと書きましたが、
数日前、T.M.Revolutionの群青を聴いていた日も
そんな事を考えていました。
正しさとは何なのかと。
群青の歌詞に、
「何が正しいのかなんて 多分誰も知らないはずだから」
と言う歌詞があります。
この、”何が正しいのか”を実証したのが、
この映画だと思います。
もう、何が正しいとか正しくないとか、理屈じゃないんだよね。
私の頭では、説明するのは難しすぎて書けませんが、
兎に角、この映画の内容は哲学の実証だ。
この映画を観て、ようやく理解、納得したつもりです。
これは多分、意見が真っ二つに分かれると思うんだ。
単純思考か複雑思考かで、捉え方が全く違うと思うから。
私がこんな深く考えながら楽しめてしまったのも、きっと
複雑な思考回路をしているからだと思う。
同時に、疲れもあるけれど。(笑
この映画を観ながら、寝れる人が心底羨ましいと思った。
この映画を観て、寝れるような人、つまり、
退屈、つまらない!と思った人は、少なくとも、
円滑な人生を送ってる人が、多数だと思う。
複雑思考は、頑固だと思われたり、面倒臭いと思われて
しまう事があり、解決する問題もなかなか解決できないので、
人生、スムーズにいきません。(笑
私には、深く考えるのをやめる努力も必要だ。
もっと、単純に楽しめる映画を観ようと思う!(笑
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